読書の小径 その56 「わが子がくれた12年間の幸せ」

2002/9/16(月)07:28 - 大橋真人 <mahito@mb.infoweb.ne.jp> - proxy1.catv.medias.ne.jp

 私は、テレビを観ていて感動したり、新聞の書評、広告などで関心を惹かれたりした場合、
インターネットを通じて関連の本を検索し注文します。
 こないだ、「奇跡体験 アンビリバボー」というテレビ番組を偶然観ていたら、「岡田貴嗣君」の
ことを放映していました。5歳で心筋症と診断され、脳梗塞による右半身麻痺、それをリハビリ、
友だちや学校の先生のおかげで、奇跡的に少しずつ良くなり、常に前向きに生き続けた「貴嗣君」。
卒業を前に闘病の甲斐なく息絶えた「貴嗣君」。卒業する生徒が手作りで開催した謝恩会の席上での
詩の朗読(「貴嗣君」がいつも級友に向かって言い続けていたことば)、
「友だちっていいよ。ぼくも友だちにやさしくしたい。そして友だちを大切にしたい。」を聴いた時
涙が出てきました。
 そんな「貴嗣君」の希望は、「他人のためになることがしたい」ということでした。
そして、「貴嗣君」の場合、そのために特別なことをする必要はなく、「生き続けていることが」他人の
ためになっていることが、放映されたテレビの反響でも分かりました。
12年という短い生涯ではありましたが、凝縮された中身の濃い人生であったことは、彼の死後、お母さん
の岡田節子さんをして「ありがとう、貴嗣 わが子がくれた12年間の幸せ」という本(幻冬舎刊)を書か
せたことで証明されています。
 「貴嗣君」とは、正反対に90歳を越えてなお一線で活躍されている方々からも、人生の知恵を学ばさせ
ていただいています。そのお一人は、京都の老舗旅館「柊家」で仲居六十年をしてみえた「田口八重さん」
(「おこしやす」栄光出版社刊)であり、いまお一人は、聖路加国際病院理事長、同名誉院長であられる
「日野原重明さん」です(「生き方上手」ユーリーグ株式会社刊)。
「田口八重さん」からは、「接客する」コツ(してもらうと嬉しいことをさりげなくして差し上げる)こと
を学ばさせていただきました。
 「日野原重明さん」からは、「いきいきと生きる」コツ(何事もとらえかた次第、くよくよ考えて、後ろ
向き発想をするよりは、前向きに積極的に事に当たる方が良い、後悔はしても意味がない。反省する事は
意味がある。)そして、お二人から、そして、「貴嗣君」から、教わったことは、人生には味わいがあり、
素晴らしい人と出逢うことが出来る、ということでした。
 私達も、日々仕事をさせていただく中で、いろんな方々との出逢いが、あります。
これを、「おしるこにおける塩」の効用と考えれば、人生における隠し味と思うことが出来ます。
これで、また自分の人生も深みを増したと考えれば、良いのかも知れません。

大橋真人拝