読書の小径 その54 2002/2/27(水)17:09 「サービスの達人たち」

2001年7月から、名古屋の地においても藤原塾が開催されることになりました。 それまでは、水戸、高松、福岡、

大阪で月に一度、藤原直哉先生を講師にむかえ勉強会 が開催されていました。

毎週一回、「ワールドレポート」がメールで私の手元に届きます。

藤原先生とは、1994年からのおつきあいということで、かなり長期にわたって ご指導していただいていますが、

常日頃からその先見性と分析の正確さには驚きとともに感動しています。

 初期の著作(「共感・勇気・自然」(近代文藝社刊))の中で、「御用達経済論」を展開されて います。

今、流行の言葉に置き換えれば、「顧客満足」ということになるでしょうか。

 その藤原塾の案内のメールに「伝説の靴磨き」というタイトルの文章を発見し、これ こそ、「御用達」と感じ入り  

ました。その人物は、シューシャインの「源ちゃん」こと、井上源太郎さんです。 (野地秩嘉著「サービスの達人

たち」(新潮文庫))

 オードリー・ヘップバーン、ソフィア・ローレン、マイケル・ジャクソンも 「源ちゃん」のお客様です。

彼等は、一様に磨かれた靴の色艶に感動し、感謝したといいます。 ホテルの雑用を担当する某サービスが

派遣するパートの従業員の磨き方は、マニュアル どおりの軽く埃を払う程度で、きれいに靴を磨いてお客に喜

んでもらいたいという気持 ちがありません。

 それに対して、「源ちゃん」は、休みの日には銀座や赤坂の靴屋を回り、新しいブランド ものが輸入されて

いようものなら、一足10万円以上のものでも、研究のためあっさり 買い込んで、必ず自分で履いてみて、革の   

性質や耐久性をじっくり調べ、どんな靴クリ ームが合うか試すといいます。

「僕のところへ来るお客さんの靴は、どれも一足10万円 はする高級品だから、僕は革の性質をよく知ってい

なければならない」というのが彼の 弁です。

  そんな「源ちゃん」のファンは、東京近郊だけでなく、京都にも北海道にも、さらには 外国にもいて、宅急便

で注文が届くといいます。朝の九時から夜の六時まで、もくもく と靴を磨きます。

新鋭の靴磨き機が備えてあるわけではありません。

我々は、自分の仕事に置き換えた場合、靴磨きの「源ちゃん」からいかに多くのこと を学ぶでしょうか?

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