KYS 推薦図書・映画の部屋 97/02/02 17:12

086 KGH10661 読書の小径 その40 「まり子の校長日記」



 

 

 

ほんめ としみつ作

「雪だるまの赤ちゃん、溶けちゃう−」

 

 

 今、私の細君は、中学校のPTAの役員(母親代表)をつとめていて、昨年11月、静岡県の浜岡原子力発電所の施設と「ねむのき学園」の見学を内容とする研修旅行がPTA行事としてあり、参加しました。
 私へのお土産に、宮城まり子著「まり子の校長日記」(小学館刊)を買ってきてくれました。私は、本を読むまでは、宮城まり子さんが俳優であること、肢体不自由児養護施設「ねむのき学園」を運営していることぐらいしか、知りませんでした。
 著書を読み、びっくりしたことは、施設の中に小学校、中学校、高校が設立されていて、手づくりの教育を実践してみえ、しかも、どんなに苦しくても、月謝なしの私学とされているということでした。
 「今日も迷い、考える。ひとり、ひとり、その子のことを考える」校長先生であり、おかあさん代わりの宮城さんの奮闘ぶりには、胸があつくなります。
 「教科書を覚えさせることより、見て話して感じることの方が、強く、重大な教育だと」考える宮城さんは、「絵画」や「ダンス」や「歌」を素材に独特の「まり子メソッド」を実践しています。そして、その活動の発表の場として、スウェーデンやスイスでの展覧会が企画されたりしています。
 最近、「ねむのき学園」のホーム・ページ(http://www.nemunoki.or.jp/)を見つけました。そこで、私は、インターネットに接続したときのスタート・ページを「ねむのき学園」のホーム・ページにすることにしました。宮城さんの想いや子どもたちの息づかいが感じられるような気がします。
 前著の「渡り鳥の羽毛 − あとがきに代えて」の箇所で、宮城さんは次のようにペスタロッチの言葉を引用し、むすびのことばを書き添えています。
 私は、彼等と共に泣き、また共に笑った。彼等はただ私と共にあり、私はただ彼等と共にあった。・・・・この世の誰よりも私ほど、この事業に、不適当な者はいない。
それをさせたのは愛である。愛はそれが真実であり、かつ十字架をおそれないとき、神の力を持つものである。…                            ペスタロッチ
私の、いましめの言葉であると同時に私へのはげましの言葉である。(前著p286
ここにも、光を放っている素晴らしい魂を見つけることができ、うれしくなってしまいました。

「戻る」