USHIMOMO 推薦図書の会議室 96/05/25 20:15

00157/00157 KGH10661 読書の小径 その31 「親子四人の世界大航海 小さな洋上教室」


 もう今から遡ると8年も前のことになりますが、私は当時、知多青年会議所から(社)日本青年会議所 東海地区 愛知ブロック協議会へ委員会の委員長として出向していました。どんな委員会かといいますと、「心を育てる教育問題委員会」という名前の委員会で、具体的には5年めになる全国3世代交流ゲートボール大会の愛知県大会の企画・実施と移管処理を担当しました。
 県内に33、青年会議所が存在し、43名のメンバーが、中には約3時間かけて委員会に出てきてくれるわけですが、ゲートボール大会の準備だけで終わってしまうのでは申し訳ないと思い、心を育てる「教育問題」を考える内容を織り込んで委員会を運営しました。
 当時毎日新聞の夕刊に連載されていたオーストラリア、大阪間のヨット・レースに、最年少で参加している内海昭雄、内海俊雄兄弟のことが気になりました。よく記事を読んでみると、彼等がそれぞれ小学校6年生、4年生のとき、父親の内海勝利さん、母親の内海礼子さんと共に、親子4人で16,000マイル余の世界大航海の偉業を達成したといいます(静岡県清水市発S53.5.4〜サンフランシスコ53.7.10〜ニューポート54.6.29〜イギリス カーディフ着54.7.24)。
 内海勝利さんは、昭和52年度(社)清水青年会議所の理事長をされたことがあるということが分かり、さっそく副委員長と講演依頼に清水市へ出かけました。熱意だけでお願いし、些少の講演料で引き受けていただきました。
1月の委員会では、著書のタイトル「親子四人の世界大航海 小さな洋上教室」(内海勝利著 玉川大学出版部)で講演していただき、O.B.S.(アウトワード・バウンド・スクール(OUTWARD BOUND SCHOOL)の略)の理念についても言及してもらいました。
その理念とは、“To Serve To Strive Not to Yield”でした。

To Serve   すなわち奉仕。社会人として、人間として、奉仕の精神を養うこと。
To Strive   個人個人の自主的な創造力や、思考力、そして行動力を取り戻し、乗り越えなければならない多
         くの障害を精一杯、頭と身体を使って努力してなんとかやり遂げようとすること。
Not to Yield すなわち、不屈。現代社会の軟弱な生活、また恵まれすぎた生活環境の中でチャレンジ精神の
         欠如、また逃避的な行動や思考をいましめ、自己が、社会人または人間としての厳しさに耐え、
         挫けることなく、より人間的に、また良き社会人として成長していこうと唱えている。               
                                                      (前著P201-202
 内海さんの「エデユケーションとはラテン語で、個人の能力を引き出すことを意味している。画一的な教育で、うずもれた才能を無にする、学力だけを追い求める、このような状況の中で世の親達に、訴えたい。真の人間らしさ、将来子供が一人前に育ち、役立つ隣人となれるために、忙しさの中でもかまけるのでなく、何か一つでもよいから身体をはって生きていくことができるために、共通の苦労して得た感動を味わうことが必要だと!」(前著P221)という叫びにも似た声が耳に残っています。

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