USHIMOMO 推薦図書の会議室 96/04/16 23:14

00131/00131 KGH10661 読書の小径 その29 「損の道をゆく経営」


 たしか中学か高校の頃だったと思いますが、私は、「ジャン・クリストフ」というロマン・ロランが書いた小説を読んだことがあります。この小説は、ベートーヴェンをモデルにしていました。読んでみて、「苦悩を経て歓喜に至れ」ということばが大変気に入ったことを覚えています。(株)ダスキンの駒井茂春会長もお好きだと知り、うれしくなってしまいました。       (ダスキン会長駒井茂春・祈りの経営語録T「損の道をゆく経営」経済界刊 P43) 「師の後を追わず、師の求めしところを求めん」といった主旨のことを駒井会長はよく語られるといいますが、大変すばらしいことだと思います。これは、創業者・鈴木清一氏を師として、意識したことばかと思われます。駒井会長が語られる経営語録の中で、特に、私が一昨年来学び続けてきたことと符合することばをご紹介したいと思います。

「売上げや生産性を上げるより、何よりまず大切なのは働く人々自身が仕事を通じて人間的に成長すること、この哲学がダスキンをここまで伸ばしてきたと思います。」(P14

「『世の中を美しく』というのはダスキン創業以来の悲願です。この『美しさ』とは単に見た目の美しさだけではありません。清潔さであり、さわやかさであり、快さであり、心の温かさであり、そして正しさであります。」(P22

「『祈りの経営の原点とは何か』。私にとってはそれは”感謝する心”だと思います。それは祈りの経営であること以前の問題として、人間の原点ではないでしょうか。感謝できると、人は次に反省するようになります。反省できるようになると、もっと役に立ちたいという『努力』への意欲が生まれてきます。」(P56

「つねに心にかけて願い続ける、それがささやかな夢であろうとも、あるいは大きな目標であっても、自分本位の欲のためではなく、人のために世のためにお役に立たせていただこうと真剣な願いに基づいている限り、道は必ず開けると私は信じます。」(P114

「信仰を持つ人の強さは、どんなに困難なことに直面しても、それを不平でなく喜びに変えて『ああ、ありがたい』と素直に生きていけることです。」(P116

「あるとき、『祈りとか信仰についてどうお考えですか』と質問されました。私はとっさに『いろんな言い方があろうけれども、一つの言い方をすれば、自分の存在というものを”必然の存在”と考えられるか、”偶然の存在”と考えるのか、その違いではないでしょうか』とお答しました。」(P118

「生まれてから死ぬまで、どれだけ人さまのお役に立ったか、それが人の生きがいというものです。働くこと、人さまのお役に立つこと、傍々(はたはた)を楽にするからはたらくと言うのです。」(P127

「喜べる心のなかでも一番大切なものは、『苦労』を喜べる心です。仕事でも人生を生きるうえでも苦労はつきものです。たとえば仕事のうえで困難に直面したとき、それを人間成長のために、大いなるものが与えてくれた試練と受けとめ、前向きに努力できるようになれば、仕事にもやりがいが出てくるものなのです。」(P131

 魂にびんびんと響くことばばかりであると感じました。

                      

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