USHIMOMO 推薦図書の会議室 96/04/02 22:36

00123/00123 KGH10661 大橋真人 読書の小径 その27 「ハプスブルクの宝剣」


 今回のヨーロッパの旅を通じていろんなことを感じましたが、とりわけ、「知らないことは恐ろしいことである。」と、感じました。萩原茂裕先生(「まちづくりの種蒔き人」)から以前、「知ると愛着が湧き、愛着が湧くと好きになる。」というステップがあることを学びました。フランクフルト空港で、名古屋への飛行機の出発時間を待つている時、篠田暢之教授に売店でワインを買いたい旨を話し、どれが良いのか分からないから、推薦していただけないかと、お願いしてみました。「大橋さん、これがいいですよ。」と、ご紹介いただいたワインには1983と朱で瓶詰めした年号が書かれていました。このワインの値段はDM 239.00でした。
 帰国後、今回の「旅の意味」の深化をしようと、再度、映画「アマデウス」や「サウンド・オブ・ミュージック」を観たり、藤本ひとみ著「ハプスブルグの宝剣」(文藝春秋)を買い求めたりしました。それを読み、感動し、さっそく広瀬 隆著「赤い楯」(集英社)、横山三四郎著「ロスチャイルド」(講談社現代新書)を手元に取り寄せ、紐解いてみて、びっくりしてしまいました。「ロスチャイルド」の目次を見ていたら、第1章「歴史を彩る」の二つめの項目に、「☆世界一のワイン」があり、次のような記述がありました。「ワインの国のフランスでもボルドー産の赤は一目置かれるが、その赤のなかで最も美味とされる第1級(プルミエ・クリュ)の格付けのものは、昔からラフィット、マルゴー、ラトウール、オー・ブリオンの4つのブランドだった。このうち、ラフィットがロスチャイルド家のものである。この誇り高きブランドに、1855年以来初めて行われた1973年の格付け改定で、ムートンが加えられた。ムートンもまたロスチャイルド家のワインである。」(P24

  「1985年のクリスティーズでの競売で200年ものの古いラフィット(1787年)が一本105000ポンド(約1680万円)もの値をつける世界である。」(同 P26)そこで、やおら、フランクフルトで買い求めたワインを持ってきて調べてみれば、CHATEAU LAFITE-ROTHSCHILD とラベルに書いてあるではないですか!?

 「シャトー・ラフィット・ロートシルトのワインは、世界における最高級の赤ワインの一つとしてあまりにも有名である。ボルドーはポイヤック村の産で、格付け特級のなかでも筆頭にあげられている、ボルドーにおける最も絢爛豪華なワインである。華麗で深みのある色調、稀有の洗練された芳香、豊かなボディと相まって、微妙できめのこまやかさを兼ね備えた絶妙の味わいは、他に比較するものがない。」(「ワインの知識とサービス」(柴田書店)P67)と、浅田勝美氏によって、紹介されています。
 今までに、十勝ワインしか飲んだことのない私でも、さすがに、このワインは尋常ではないことが分かりました。細君も、「赤ワインは嫌いだけど、これは飲めるわ!」と、言います。調べてみて、びっくりすることばかりです。こういう勉強の機会を与えていただいた篠田教授に、感謝しています。ワインも奥が深いと思います。

 「ワインと料理は素晴らしい香りと味で味覚を刺激し、人々を感動させる食卓の芸術だといえる。また、ワインはその国の歴史、風土、科学、芸術などを集約した文化的産物であり、ワインを語るということは文化を語るということである。」(前著P12)と、いうことばの意味は深長であると思います。

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