USHIMOMO 推薦図書の会議室 96/03/20 21:43

00117/00117 KGH10661 大橋真人 読書の小径 その26 「人間の絆 基盤編、響働編、自業編」


 篠田ゼミ ヨーロッパ研修15日間の旅

 「よみがえるヨーロッパ。EUの精神的源流をたずねる15日間巡遊の旅」から帰還して12日目が過ぎようとしています。ウィーン、ザルツブルグ、ミュンヘン、ローザンヌ(途中モンブラン観光)、ミラノ、フィレンツェ、ローマ、ナポリ(ポンペイ遺跡)と行程は続き、視るもの、聴くものから、いろんなことを学びました。行く先々での、篠田暢之教授の博学なお話から教えられることもいっぱいありました。
 たとえば、ドイツでは、政治腐敗防止に関して以下の三つのことが法律的に規定されているといいます。まず第一に、国民皆番号制による口座開設が一口座。(これによって、政治家個人のお金の流れは完全にチェックできる)第二に政治家であった者の息子や娘は政治家になれない。(親が築きあげた「権力」を次の世代に「世襲」的に引継ぎ渡すことはできない。)第三に国家公務員、地方公務員、すなわち、公的機関から一年以上給料をもらった役人は政治家になれない。(公的機関の内部の事情に詳しい人が政治家になると公的資金を自分個人の政治活動に使い得る可能性があるということで、これを認めない)
 日本でもこれを行うなら、政治改革に関する基本的かつ根本的なことが防げ、クリアできると思います。

空転国会など生じる訳がないと思います。

 今、ふりかえってみると、今回の旅行は「人間の絆を深める旅であったな」と感じています。時間は、たっぷりあるはずだから、今回の旅行には本を持っていくことにしました。選ぶのに苦労しましたが、高橋佳子著「人間の絆(基盤編、響働編、自業編)」三部作(祥伝社)に決めました。昨年、「天地有情」、「サイレント・コーリング」、「祈りみち」(いずれも三宝出版社刊)を読み、講演のビデオを見せてもらい感激し、涙したからでした。石川光男先生から、「いのち」は「つながり」であると教えていただきました。石川光男先生の「つながり」ということばと高橋佳子先生の「絆」とは或意味において同義と考えることができると思います。「いのち」を活かす生き方とは、そうしてみると、「絆」を深めることをいうのかも知れません。

今回の旅の個人的な目的は三つありました。
一つは、一昨年来、父の病気(胃ガン)を契機に細君に測量の現場を手伝ってもらうようになったわけですが、そのお礼と結婚16周年を兼ね旅行すること。二つは、ISO9000,14000基準が実際EU内でどのように進められているか、自分の目で見てきたいと思ったこと。三つは単純に本が読みたかったこと。

 旅行に出発した2月23日の朝まで、本当に出発出来るか不安でした。今は、夫婦そろって旅行出来たのは、父母や子供達のおかげと、感謝の気持ちでいっぱいです。旅先で、不覚にも38.8℃の熱で一昼夜苦しみ、この意味を真剣に自問自答しました。(天気は最高に良かったのに、モンブラン観光をした晩から体調が悪くなってしまいました。)「偶然はなく、すべて必然」とすると、すべてのことに意味があるわけです。逆に、意味があると考えた方が人生を豊かに生きることができると思っています。
 おかげで、ミラノの観光は出来ませんでしたが、貴重な体験をさせてもらった、と今では思っています。旅行に同行している方々から、温かい配慮をいただきました。添乗員の方や、篠田教授にも御心配をかけました。そこで、旅の終わりに際して、感謝の「寄せ書き」を提案させていただきました。添乗員の岡野さんには、仕事とはいえ、細かな気配りに誰もが心の中で手を合わせていたと思います。
 ウィーンの楽友協会ホールでのコンサートはじめ、愉しい企画をしていただいた篠田教授には、旅の意味を深化させることをお約束しました。こうして、直接には細君との絆をより深くしましたし、同行していただいたみなさんとの間にも素敵な絆が育めたと感謝しています。

 ヒトラーがナチ党を結成した、「ホーフ・ブロイ・ハウス」で、ビールを飲み、ナチに抵抗したレオポルド・スークロン卿をモデルにしたサウンド・オブ・ミュージックの舞台となったザルツブルグのミラベル庭園の近くで、「人間の絆(響働編)」を読み、感涙し、有意義な一時を過ごしました。そして、今、マリア・テレジア女帝と夫君フランツ・シュテファン神聖ローマ皇帝と「ロスチャイルド」(ドイツ語読みですと「ロートシルト」:「赤い楯」)とフリードリヒプロイセン王太子との絆に深く関心を持っています。(藤本ひとみ著「ハプスブルクの宝剣」文藝春秋刊参照)

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