- USHIMOMO 推薦図書の会議室 95/12/26 00:05

00078/00078 KGH10661 大橋真人 読書の小径 その18 「クリスマス・カロル」


 最近、素敵な映画を二本見ました。一本は「34丁目の奇跡」(レンタルで借りてきた翌日、22日テレビで放映)で、今一本は家族そろって見た「クリスマス・カロル」です。「34丁目の奇跡」は、クリスマス・シーズンのニューヨークの百貨店のサンタクロース役に雇われた老人の物語で、サンタクロースの真贋論争が子供達の何万通の手紙で最終的に決着がつくあたりは感激的でした。
 以前、作家の澤地久枝さんがNHKのラジオ放送で、「姪ごさんにクリスマス・プレゼントとかお年玉をあげられるんですか?」という問に、「私は、だいじな私の時間をプレゼントするようにしています。たとえば、いっしょに、素敵な映画を見たり、演劇を見たり、食事をしたりとかね・・」と、答えられたのを聞いて素晴らしい人がいるものだ、と思いました。(あとで、澤地久枝さんは体の具合が余り良くないということを知り、あらためて澤地さんの偉さを感じました。)そんな澤地さんの真似ごとでもしてみようと思い、ビデオ店へ行ったら、都合よく「クリスマス・カロル」があったわけです。じつは、「34丁目の奇跡」を借りた日に、いっしょに借りようと思っていて、別にもう一つ借りようと「2001年宇宙の旅」を探していたら、誰かが先に借りていってしまいました。そのおかげで、クリスマス・イブの晩に家族そろって素敵な映画を見ることが出来ました。先に借りていった方に感謝しています。
「クリスマス・プレゼント、ありがとう」。
私は、たしか今から25年ぐらい前の高校1年生か2年生の頃に、英語の教科書で、ディケンズ著の「クリスマス・カロル」を読んだことがありました。村岡花子訳「クリスマス・カロル」(新潮文庫)や映画の字幕では「幽霊」と訳していましたが、私の記憶では、たしか原文は the first spirit ,the second spirit,the third spirit で、高校の先生は「精霊」と訳されたと思います。英語の辞書を見ると確かに「幽霊」という意味もありますが、ここは、やはり「精霊」の方が意味深いと思います。
クリスマス・イブの晩に7年前に死んだマーレイの幽霊が現れ、ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者のスクルージに「今のままだと自分のようになってしまう。」と話します。マーレイが鎖につながれているのを見て、聞きます。「鎖につながれておいでなのは、どういうわけか、お話ください」と。「これは生きてる時に自分で作った鎖なんだ。それに今つながれてるんだ」と答えます。(同著P31)そして、おまえのは「途方もなく大きな鎖になっていることだろうな!」と言うではないですか。スクルージはびっくりしてしまいます。そんな彼に、マーレイは忠告するのです。「お前さんのところへ三人の精霊が来ることになっている。三人に来てもらわなかったら、お前さんもまた私と同じ道をいかなければならない」(P36)と。
 過去、現在、未来の精霊について、いろんな情況を見て、学んだり、気づいたりして、あのスクルージが生まれ変わっていきます。不覚にも、第二の精霊の時、書記のボブ・クラチットの家でのボブの話の時に、涙腺がゆるみ家族の者に、感激しやすい私の姿を見せることになってしまいました。しかし、それでよかったのではないかと思ってます。

人はなぜ生きるのか?何を喜びとし、何が幸せか?を考える契機になってくれればいいと思います。
お金が全てではないことを分かって欲しいと思いました。中2、中1、小5の子供たちもたぶん、分かってくれたんじゃないかと思います。最後までいっしょに見てくれた家族に感謝。
 

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