USHIMOMO 推薦図書の会議室 95/12/10 23:10
00071/00071 KGH10661 大橋真人 読書の小径 その16 「心願に生きる」
愛知県知多半島出身の哲人「森
信三」先生の存在を知ったのは、今から6年前になります。坂田成美先生の「ハガキ道」という講演テープを聴いたとき、「森
信三」先生の名前が出てきて、偉い先生がいるものだなと当時思いました。まさか、私が住む知多市のすぐ近くの武豊町に生まれた方だとは、つゆ知りませんでした。先日、「心願に生きる 森
信三先生の人と実践」(寺田清一著
致知出版社)を読む機会を得ました。寺田先生には、今までに森信三先生の「不尽叢書」や藤本幸邦先生講述の「はきものをそろえる」や鍵山秀三郎先生講述の「凡事徹底」を注文し、送っていただいたりして、大変お世話になってきました。たぶん、みなさんの中には、森
信三先生を知ってみえる方は少ないかと思います。川崎泰洋さんが以前#55でご紹介していただいた「回り道を選んだ男たち」を探しにいったとき、となりにあった「スキな人
キライな奴」(小島直記著)という本も気になりいっしょに買ってきました。本を繰っていてびっくりしたのは、「森
信三」先生のことがP146-160に記述されているではありませんか。
やはり、どこかですべてつながっているんだなと直観しました。また、「現代の覚者たち」(致知出版社)にも、在野の哲人7人の一人として坂村真民先生や鈴木鎮一先生と共に登場しています。寺田先生は、昭和40年以来、森
信三先生に師事され、「森
信三全集」をはじめ、先生の著作の編集発行を担当されてみえました。「心願に生きる」の中には、森信三先生の人間的な魅力は言うに及ばず、人はいかに生くべきかの箴言がそこかしこに満載されています。たとえば、
森先生のことばに、「いのちの呼応こそ人間関係の真の喜び」とありますが、明るく、元気で、さわやかな「ハイ」の返事こそ、人間関係の呼応において、「あいさつ」と共に、何よりも大切な二大原則であり、もう一つ、スマイル即ち、笑顔を加えると、「あいさつ」「すまいる」「ハイの返事」こそ、人間関係の三大原則といえましょう。(同著P58)
また、森先生のお言葉に、「しあわせとは、人と人とのご縁を、限りなく噛みしめ、味わうことなり」とあります・・
(P107)
「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早過ぎす、一瞬遅すぎない時に」とあります。・・・そこで一見偶然の出来事のように思いがちですが、その背後に、必然ともいえる天のはからい即ち天意ともいうべきものが、働いているように思われるというのが、この語録の深い意味合いであります。(P108)
かつて柳生家の遺訓として承ったことがありますが、
小才は 縁に会って縁に気づかず
中才は 縁に会って縁を活かさず
大才は 袖ふれあう他生の縁もこれを活かす
とあります。(P111)
ハガキに関する、森先生の語録をとりあげてみますと・・・
たった一枚のハガキで、しかもたった一言のことばで、人を慰めたり励ましたり出来る
としたら、世にこれほど 意義のあることは少ないであろう。・・・・・
ハガキの三大功徳は、何といっても、(一)ご縁を結び、(二)ご縁を深め、(三)そして、自他の浄化、と言える
のではないでしょうか。ですからハガキ道の坂田成美先生が言われるように、「ハガキは書くのではなく、書かさせていただくものである」ということも納得せられるといってよいでありましょう。 (P177)
「心願に生きる」の中で、「幻の講話」(全5巻)のことに言及されてみえる箇所があり、ふと「不尽叢書」を送っていただいたときのメモ書きに「全集はすでに在庫なく、『幻の講話』全5巻ならございます。」とあったのを思い出しました。そこで、さっそく1セットお送りしていただくようにお願いしました。