USHIMOMO 推薦図書の会議室 95/10/29 00:18

00053/00053 KGH10661 大橋真人 読書の小径 その10  「いのちよありがとう」


 みなさんに、とっても素敵な女性を紹介したいと思います。詩人の「かとうみちこ」さんがその人です。彼女は、無腐性壊死(えし)という細胞が死んで骨の腐る難病と共存し、「ワクワク、ウキウキ、いのちのよろこぶ生き方をしたいですね」と、自分に言い聞かせるように話してくださる人です。20歳の時には70歳ぐらいのお婆さんみたいな体になってしまい、体重は20キロしかないし、血圧は最高が60、最低は30まで下がってしまって代謝不能で爪も歯も髪もポロポロと抜けていく。夜中になると、激痛が走り、失って失って全部失って、命のギリギリのところまで行って自覚して、立ち直っていく姿に生きる共感と勇気を感じます。(かとうみちこ著「いのちよありがとう」(日新報道)参照)
 雑誌「致知」1993-11でのインタビューで、「かとうさんにとっての人生は?」と、問われて次のように彼女は答えています。「自分探しの旅を続けるということかしら。愛に生まれ 愛に傷つき 愛に学び 」、また、別のところで、「とはいっても、しょっちゅうカベにぶつかったり、処理のできないさびしさにおそわれたり、涙を流したり、人を責めたり、自信を無くしたり、自己嫌悪に陥ったりと、どうしょうもありません。これが現実です。正直に腹を立て正直に笑い、正直に涙を流す。そして、話し合い、励まし合っていく。これで良いのではないでしょうか。欠点がなかったら、この世に生まれ、学ぶ必要がないですもの。欠点があるからこそ、魅力的で、そして成長したい、学ばずにはおれない気持ちになるんです。」と言われています。
かとうみちこさんの詩集「しあわせのかくしあじ」(地湧社)に次の詩があります。


からいお塩は
おいしい おしるこのかくしあじ
からい くるしみ かなしみ 
そして わかれ
みいんな しあわせのかくしあじ
ひとふり ふたふり
ほら!
しあわせが とっても
おいしくなったでしょ・・・

 みなさんはどんな「しあわせのかくしあじ」をお持ちですか?ひたむきに生きる人々から学ぶことは多いと思います。昨年、かとうみちこさんのお話を聴く機会に恵まれました。かとうさんが会場に入られるやいなや、私の顔をみて「どこかでお会いしましたね。」と、言われました。私も、その時、同じ事を考えていました。「私の娘の名前が同じ『みちこ』で、しかも、先生のお顔と娘ととってもよく似ています。」と、感動してお答したことを覚えています。世の中には、興味深いことがありますね。

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