USHIMOMO 推薦図書の会議室 95/10/21 22:41

00051/00051 KGH10661 読書の小径 その8   「こころの手足」





 一昨年9月佐賀県鳥栖市の友人から「中村久子女史の生涯」と題する講演会(日本経営合理化協会主催 講師 ミリオン珈琲貿易会長 黒瀬昇次郎氏)のテープが送られてきました。両手両足を突発性脱疽という病気で失った女性の波乱万丈の生涯から経営者として学ぶことを、独特の口調で語られた内容のものでした。私も涙腺がゆるい方なのでテープを聴くうちに頬をつたうあついものを感じていました。
 そこで、近くの書店へ行って黒瀬氏の女史に関する著作を検索してもらったのですが、見つかりませんでした。その代わり、「こころの手足」という中村久子女史本人の書かれた本を見つけることができ、さっそく注文しました。「中村久子女史の生涯」について、TVの「知ってるつもり!?」という番組で紹介されたことがあるそうなので(私は見ていないので、内容は知りません)、みなさんの中には見られたことがあるかもしれませんね。
 私は一昨年来、多くの本を読んでいますが、「こころの手足」は、その中でもひときわ光輝いています。私の長女が嫁ぐときには(中3ですのでまだ先のことだと思いますが)必ず「読んでから行くように」と言うつもりでいます。(実は、もう彼女の分も買ってあります。)
口絵にある写真(口にて針を運ぶ、ヘレン・ケラー女史に贈る人形と共に、腕と頬にはさんだ筆で短冊を書く等)を見るだけで、この世に不可能はないんだと思えてしまいます。我が身の五体満足であることに感謝するとともに、人間の無限の可能性を信じるようになりました。私にも出来ることがあるはずだと・・・。

「ケラー女史は私の傍に歩みより、熱い接吻をされた、− そして、そうっと両手で私の両肩から下へ撫で下される時、袖の中の短い腕先にさわられた刹那、ハッとお顔のうごきが変わりました。下半身を撫で下された時、両足が義足とお分かりになった− 再び私を抱えて長い間接吻され、両眼から熱い涙を・・・」流されたヘレン・ケラー女史をして(昭和12年4月17日東京日比谷公会堂において)「私より不幸な人、私より偉大な人」と言わしめた中村久子女史の生涯から、私達は多くのことを学ぶことが出来ると思います。



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